YouTubeからBANされてしまいました

「元Google社員がYouTube締め出されてやんのw」と笑い飛ばしたいのですが、それはもう大層落ち込んでいます。

母の進行癌が分かって以降、一緒にゲームして遊んでる様子を遺すため、意識してYoutubeに配信としてアップロードして家族や友達にシェアしていたのですが、全てアクセスできなくなってしまいました。今は色々な場面を覚えてますが徐々に忘れるでしょう。なぜバックアップをとっていなかったのか自分を責める気持ちでいっぱいです。

中身は本当に恥ずかしい話なのですが、誰か1人でも同じことやらかして同じ悲しみを背負う人が減ればと顛末をシェアします。

事の起こり

2022年3月20日のお昼、ふと自分の動画を見ようとするとアクセスできなくなっていました。

血の気が引きつつ、メールボックスを見ると…

頭が真っ白になりました。nudity or sexual content!? 僕のチャンネルにある動画はほとんどFF14等のゲーム動画か母とのコミュニケーション記録なので、まるで心当たりがありません。おそらくアルゴリズムによる自動BANだと思うけれども、なにがそれをトリガーしたのか分からない… Appealするフォームへのリンクがあるのでそこに頼ります。

Appeal(不服申し立て)の失敗

あまりに心当たりが無かったのと、早く戻してほしい焦りから、手がかりが無いままいかに心当たりが無いかというAppealをしてしまいます。そしてこれは完全に間違いでした。この時は気付いて無かったのですが、Appealは原則1回という事になっているので、まずはしっかりと原因を突き止めて、その原因に応じた理論武装をしてAppealすべきでした。気が動転してるとやってしまいがちなミスだと思います。

Appealは30分で却下の定型文が返ってきました。どうしよう…と呆然としていると、とんでもないことに気付きます。OBSが配信中のままになってる…!!

思い出すと、昨晩22時頃からFF14のレイドで自分のプレイの確認をする(そして必要があればパーティーメンバーにシェアする)目的で、Unlistedな配信を始めていました。URLをシェアしない限り他の人には見られない配信です。そして、その夜は見返す必要が無いままに配信している事を忘れていたようで、OBSの配信を切らないまま眠ってしまいました。そして…翌朝nudity or sexual contentが含まれる動画を見た記憶があります(恥ずかしい…)。時系列としてはこうなります。

  1. 3月19日22時頃 Unlisted設定でYouTube Liveを使ってFF14の配信を始める
  2. 3月20日1時頃 FF14を終え、OBSの配信を切り忘れたまま、しばらくWebサーフィンした後眠る
  3. 3月20日朝 配信が続いていることに気付かないまま、ポルノグラフィーが含まれる動画を見る
  4. 3月20日10時 YouTubeからチャンネルをterminateしたという通知が届く

おおよそ間違いないBANの原因が推定できたので、それを踏まえてダメ元で2回目のAppealをしてみます。

  • ポルノグラフィーを配信したのは意図的ではなく、YouTube communityを害する意図は無いこと
  • 配信はUnlistedかつ誰にもURLをシェアしていないので、私以外の目には入らなかったはずであること
  • やってしまったことの謝罪と、同じミスをしないように設定等を徹底すること

を伝えました。しかし残念ながら、1回目と同様に30分で同一の定型文により却下が伝えられました。つれない…

救われた前例の発見と、@TeamYouTubeへの訴え

半分諦めつつ、同じことをした人がいないとも思えないので前例を探していると、YouTubeのサポートフォーラムにそっくりな人がいました。

Got my account terminated due to accidental streaming of pornography to a private stream (hopefully)

この人も同じ経過を辿ってますがその先がありました。

  1. ゲームの配信をUnlistedで始める
  2. ゲーム終了後、OBSの配信を切り忘れていることに気付かずポルノグラフィーを配信してしまう
  3. チャンネルがterminateされる
  4. Appealするが却下される
  5. Twitterで@TeamYouTubeに問い合わせをする
  6. 追加調査の結果、この人への処分は”mistake”だったとしてチャンネルが復旧される

チャンネル停止処分は結局Mistakeだったとして取り下げられているので、自分も不当に重い処分を受けてしまったのかもしれないと考えて同じように@TeamYouTubeに問い合わせしてみました。(前例として示したかった上記フォーラムスレッドが英語だったので英語で問い合わせましたが、日本語でも受け付けてもらえるそうです)

何度かのやり取りの末、追加調査をしてもらえることになりました。

結末

期待を胸に待ちましたが、1日後、決定は正しかったとして、他のチャンネルも含めてアクセスしたり所持したり新規に作成したりすることを禁じられました。(今のところ、当該チャンネル以外にはアクセスできるようですが。)期限等も無いので、一生YouTubeプラットフォーム上での活動が禁じられたことになります。

前例に対して、何が明暗を分けたのかは分かりません。

  • 僕の場合は意図的だと見なされた(意図的である事を示唆する要素は無いと思うので線としては薄そう)
  • 元々処罰の一貫性は保証されないので運が悪かった
  • 前例の方が間違った救済であり、今回の方が運用ルールに沿った処分だった
  • 前例について@TeamYouTubeから審査チームに伝わらなかった(Appealには書かれてない)
  • ここ半年で基準が厳しくなった
  • 配信してしまったポルノグラフィーに僕の方が問題が多かった(普通だと思っているけど…)
  • 実はBANの原因は違って、別の動画に対する処罰だった(心当たりが再び迷子)

可能性を考えてはみるけれども、nudity or sexual contentについてのCommunity Guildelinesに違反したという事以上の情報は開示されないので、わかりません。そしてそれが問題だと思いました。

(追記 日本語でもAppealできることに気付いたので、前例の件も含めた上で改めて日本語で下記の申し立てしてみましたが、やはりすぐに却下となりました)

フィードバック

僕は過去の思い出と未来の機会を失っただけでしたが、現在の収入源が無くなったりして人生設計が壊れた人もいると思います。正確な処分の理由を開示するとボーダーラインすれすれを狙う人が出るのは想像できるので難しいのは理解できるのですが、警告や3ストライクシステムをすっ飛ばして1発でチャンネル全体の削除をするようなインパクトの大きい処分に関しては、間違いを減らすためもう少し双方の認識を合わせられる窓口がほしい、と思いました。Appealシステムはありますが、実際にYouTubeが何を問題と捉えたか分からないまま、推測に基づいたこちらの主張に対して決定だけを回答されるので、主張と問題に関連はあったのか、こちらの主張が否定されたのか、主張は肯定された上で処分は変わらなかったのか、そもそも主張は誤解なく伝わったのか、一切分からないまま一生ついてくるペナルティーを受け入れなければならないところに辛さがあります。合意には至らずとも、Appealに対して返信の体を成してる決定であれば、誤解による処分では無かったと分かるので受け入れやすかったでしょう。

また、たとえアルゴリズムが洗練されていて人力もある程度介入したとしても、大量のSpamやBotを抑え込む過程において擬陽性で処分してしまうケースはかなりの数出るはずと思うのですが、そのことを前提としていないような罰の躊躇の無さを感じました。必ず出る、擬陽性で処分をされてしまう人に対して、YouTube communityの安全性を保ったまま、本来より重い処分をされてしまった人の被害を軽減できる方法はあるように思います。例えば、一定期間動画のダウンロードだけ許されるとか、N年経てばチャンネルは戻らないが個人レベルの制裁は解除されるとか。意図的でなく、視聴者もないためYouTubeコミュニティへの実害が無かった本件についても、動画の削除と1ストライク等で済ませて次の機会を与えられるだけの優しさがあると嬉しかったです。

処分に関する根拠や基準についての透明性や一貫性の改善、意図的でなく被害者のいないようなケースについて再度のチャンスを与える優しさ、などがあると、市場を寡占する公的インフラに近いプラットフォームとしてより安心だろうというのが今回感じたことです。

学んだこと

決まってしまった事は仕方ないので、せめて学びを自分の糧と誰かへの注意喚起に活かして、思い出と未来の機会を供養したいと思います

  • 大切なデータはバックアップを取っておく
    • 当たり前だろと怒られそう
    • Gmailも、Google Photosも、LINEも、Twitterも、いつアクセスできなくなるか予測できないので、失って困るものは面倒がらずにバックアップが必須だった
    • GoogleのサービスについてはGoogle Takeoutでまとめてバックアップが取れます。ただ、1度のバックアップだとexportに失敗した動画とかあったので注意かも
  • 配信する時はデスクトップを配信するようなズボラを絶対にしない
    • アプリケーションのWindowを配信しましょう…
  • サービスは正しい使い方をする
    • 僕のYouTubeの使い方はあまり良くなかったと思う。幅広い人に参考になりそうな動画や配信はPublicにしていたけど、多くは家族やフレンド向けのUnlistedだった。禁止された使い方ではないけど、プラットフォームにとって利益よりコストであると見なされれば、Abuseと判定されやすくなるのは自然だと思う。
    • 特定少数向けの動画のシェアや自分用の記録には他にもっと良い方法があったはず
  • 1つのプラットフォームに依存しすぎない
    • 普段Googleのサービスにめちゃくちゃ依存してるから、ゲーム配信はTwitchで、サーバはAWS、みたいな多少のバランス取りがあってもよかった。
    • このGoogleアカウントがBANされたらGoogle外サービスへのアクセス含め全部破滅、みたいな状況にはならないよう準備しときたいですね。YouTube BANのフラグがどう影響するか分からなくて怖いけど、今GmailからBANされたら破滅です!ひとまずPassword ManagerはChrome付属のものから1passwordに移行しておきました。

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